このカバーはさすがに顰蹙を買うだろうと思いつつ、アルパカのぬいぐるみで股間を隠す全裸の艾未未氏と、レオナルド・ダ・ヴィンチの人体比例図があまりにぴったり合致する面白さに、没案になるのを覚悟のうえで制作してみた。ところが、編著者の牧陽一教授が大いに気に入ってくださり、艾未未氏に打診していただいたところ、艾氏もお気に召してくれたようで、このカバーに決定してしまった。装幀だけに想定外である。
タイトルロゴには少々苦労した。艾未未氏の名前の字面が「未来」に見えることと、現代美術というワードの持つ未来感を表現するためにロゴ案を八つ考え、七つ没にした。決定案ではなく、生き残り案というわけで、締切がなければまだまだ迷走していただろう。
本書の内容は、七人の論客による艾未未に関するアンソロジー論文で、全六章、各章の扉を見開きで作成した。友人が数名、執筆にかかわっていたこともあり、コミュニケーションにも齟齬がなく、愉しい仕事だった。なお、この本が出版されたとき、艾未未氏は中国政府当局の監視カメラの下で軟禁状態にあったという。