長いお別れ
さよならを言うたびに、私は少しだけ死ぬのよ。
さよならを言うたびに、なぜ別れなくちゃいけないのって思うの。from “Everytime we say goodbye”
チャンドラーの『ロング・グッドバイ』をタイトルに借りて、長い休眠状態だった KATATI.com の復活宣言──ではなくて、仕事場であるスタジオカタチのサイト再開のお知らせを。
KATATI.com のほうは、復活の予定はなく、おそらく永遠の「ロング・グッドバイ」になるだろう。あのサイトは、ネットが黎明期だったからこそ咲いた徒花であり、過疎地の隠れ家であって、いまやメインストリームと化したネット空間で、それだけに個人が特定されやすい状況で、あの頃のような赤裸々な写真やテキストをアップするのはさすがに憚れる。私は平気でも、私のカメラのファインダーに収められた人たちは心穏やかではないはずだ。
だから、KATATI.com は終了です。ロング・グッドバイ・フォーエヴァーです。
ちなみに冒頭の引用は、フィリップ・マーロウの決め台詞として知られているが、元ネタはコール・ポーターの名曲「Everytime we say goodbye」の歌詞の一部である。
Everytime we say goodbye, I die a little,
Everytime we say goodbye, I wonder why a little …
マーロウの台詞のほうは「To say goodbye is to die a little」となっている。
村上春樹氏による新訳版では「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」と訳されているが、さよならを言ってから数年経ったら、言ったほう、言われたほうのどっちかが亡くなっていた、という話は、それなりに歳を重ねた人なら経験しているはずで、そういう意味ではこの台詞は真実である。
スタジオカタチ再開の書き初めは、まあこんな感じで。
では皆さん、次回までグッドバイ(少し死ぬ)。