路遥はフランス文学を愛読していたらしい。その影響なのか、彼の文体は、こなれた訳文のおかげもあって、自然主義文学ふうであり、モーパッサンの小編のようでもある、抑制された丁寧な筆致で、中国陝西省北部の風景やそこでの貧困生活を、わりと即物的に淡々と描いている。現代中国文学にまったく疎い私には、良い意味で、少し衝撃だった。
中国文学の造本設計は初めての経験だったので、たとえば土地面積の単位である「畝」が、日本語の畝(せ)と中国語の畝(ムー)とではまったく大きさが異なることなど、訳者の安本先生にはいろいろとご教示をいただいた。
書肆データ
- 書名:路遥作品集
- 著者:路遥
- 訳者:安本実
- 出版:中国書店(2009/12/14)
- 判型:四六判/並製/518ページ
- 造本設計:玉川祐治
- ISBN:978-4903316154