本書の内容については多くの書評で触れられているので、ここでは別のこと、王力雄氏の写真について語りたい。
劉暁波の畏友、中国きっての反体制作家、民主化運動の中心的人物、などなどの肩書きに「写真家」を追加してもよいのではないだろうか。右のスライダーから本文に収録した写真、目次の扉や各章の扉をご覧になっていただきたい。
光と影の構図とバランス、撮影対象の本来の美しさ、それらを美意識を働かせて切り抜いていることがはっきりと分かる写真ばかりだ。プロの写真家かどうかは写真で食えているかではなく、自身の明確な美意識を持って撮影しているかにあると私は考えているのだが、その定義から言わせてもらうなら王力雄はまさしくプロの写真家である。