本書は幕末から明治末にかけて北海道とシベリアの開拓に生涯を捧げた岡本韋庵の思想に関する研究書。『ゴールデンカムイ』の時代設定と少しかぶっている。極めてニッチな研究ではあるが、このような地道な研究が、のちに生まれてくるだろうさまざまな物語にディティールを与えてくれる。
ジャケットカバーに琥珀と海老茶、表紙に海老茶、帯と扉に濃藍、いずれもアイヌの伝統色を用い、淡色でアイヌ文様を配してみた。また、本書内の画像資料は広島大学と徳島大学のそれぞれの附属図書館から提供いただいた。
総頁数の半分近くを「資料篇」が占め、岡本韋庵の原書(活版の潰れから判読不可の文字や欠字の箇所もある)の翻刻が収録されている。加えて「資料篇」はすべて旧漢字(しかも岡本はかなり特殊な字形を使っている)なので著者はもちろん校正者の苦労が偲ばれる。