総頁数1296、厚み72mm、重さ約1.4kgの鈍器本。
最初は上下巻分冊を考えていたが、それでも1巻あたり600ページを超える大部になるので、いっそのこと鈍器本にしてしまえ、ということになった。調べていないので断定できないが、辞典類を除いておそらく過去最厚の単行本ではないかと思う。
装画は分かる人には分かると思うが、本書に登場する日本人たちと同じくシベリアに抑留された画家・香月泰男へのオマージュである。二十代の頃、山口美術館で香月の連作絵画「シベリア・シリーズ」に圧倒されたのがきっかけで、彼の著書『私のシベリア』を読み、日本の戦争史に「シベリア抑留」という事件があることを知った。本書の制作を依頼されたとき、まだ原稿をいただいていない段階にもかかわらず、装画には香月へのオマージュをと心に決めたものである。
なお、本書の発行日(8月23日)は、1945年、スターリンが日本人の強制連行を極秘指令した日に因んだ。二度の原爆忌があり、敗戦の日があり、シベリアの日があり、日本の八月は暑いだけでなく、重い。