本書の第1刷発行日は2022年10月1日である。そのおりはカバーや帯などの付き物だけを手がけた。翌月に第2刷が発行されることになるのだが、諸々の事情で組版を改めることになり、改訂版ということで組版デザインも引き受けることになった。結果的に、装画の写真を除き、フルパッケージでの仕事になった。
カバー写真は著者のモハメドさんの撮影であり、ごらんのとおり、東トルキスタンの人々の暮らしに欠かせないロバ(農耕や荷運びだけでなく、肉や乳は食料になる)が、飼い主を困らせようとしているのか、砂漠を自由に駆け巡っている。ウイグルの人々が自由を求めるならば、このロバのように砂漠へ逃げ出すか、亡命するしかない状況を物語っているかのようだ。
モハメドさんは写真がお好きなのか、構図も切り取り方も実に巧みで、他にも目を惹くものが多くあったが、本書のカバーにはこのロバの写真が最も相応しいと思った。